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スーパームーン

私は赤い月を見た。赤い月の方へ車が向かうのできっと同じ月を見たのだと思った。

部屋に戻って、黙っていられなくて「月が赤いね」とメールした。美しい偶然を共有できたことが、ふたりの間の揺るがぬ何かになってくれるような気がして、私は思わず微笑む。すると、まさかの予想外「赤い月?」

なんてこった。私は部屋を飛び出した。真っ暗な空には赤い月どころか月さえ見当たらない。ずいぶん歩いた。川沿いを歩いて月を探したけど、結局見つけることができなかった。携帯電話の向こう側で月を探す彼を浮かべながら、ちぇっと思う。

そういえば、彼とは夜の繁華街でネズミを見た間柄だった。ロマンチックにはほど遠い、そんな月にまつわるお話。